初心者でもインプラント
われわれは軟骨をきわめてていねいに取り扱った。
1985年、私は抽出物でなく軟骨の全体を粉末にしたものをP博士に提供し、1990年、日本の研究者は、R博士が使っていたものとは別に、少なくとも2種類の有効な蛋白質があり、これもまた強力な血管造成抑制効果を持つことを明らかにした。
もし軟骨の全体を使うなら、それはその21種類のものをすべて利用することになり、さらに、ムコ多糖体という免疫力を強化し炎症を抑える物質もいっしょに利用できることになる。
また、いくつもの有効成分をいっしょに使うことは、たぶん相乗効果、つまり、それぞれのものを別々に使う場合よりもずっと強力な効果を期待できるはずである。
自然のものを使ういちばん大きな利点がここにある。
鮫の軟骨が血管造成を抑え、腫瘍の増殖をストップさせたというm工科大の研究、血管造成を抑制すれば腫瘍の増殖が止められるはずだというF博士の理論などに加え鮫の軟骨は仔牛の軟骨に優るというD博士の指摘を合わせて考えてみると、ジグソー・パズルのはめ絵が1つにまとまってくる。
A医大の故G・E博士に製剤を提供したときまでには、本当に私が自信を持てる製剤ができていた。
E博士は昔からのガン学者で、アメリカ国家のガン研究に助言したり、アメリカのガン研究を国際的な研究協力に向かわせたりしてきた実力者だった。
博士は私と博士の製剤と比較してもらうことにした。
博士はA大に送り、そこでD博士が仔牛の軟骨との比較研究をしてくれた。
D博士は私に手紙で、鮫の軟骨製剤で得られた結果は仔牛の軟骨のものより少なからず優れていたと書いてきた。
のちに、ある国際的な製薬会社の調査は、市販されている鮫の軟骨製剤は、P博士の仔牛の軟骨製剤=カトリックスーSよりも血管造成抑制要素としてかなり優れていて、当時も今も伝統的に標準の物指しとされているヘパリン・コルチゾン化合物と少なくとも同等の効果を持っていると結論して、D博士の比較研究を裏づけた。
E博士は私と会って数週間のうちに、ブリュッセルのJ・p研究所の研究者と連絡をとり、私が研究部門のトップと会えるようにしてくれた。
この研究所は、1919年にノーベル賞を受賞したベルギーの生理学者J・pにちなんだ研究所だった。
数日後、私はH・T博士と会うべく、ブリュッセルへ急いだ。
博士と会う日、ホテルを出発したときには、私にはまだ自分がどんな状況のなかに飛び込むことになるのかもわかっていなかった。
それは、タクシーに研究所のアドレスを渡して行き先を指示したときも同じだった。
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